「正常性バイアス」と「心配性バイアス」

こんにちは。茂原産業 代表の雪田です。

茂原産業は毎週火曜に全体での朝礼と、私たちがいつも使っている環境や設備を維持する『整理・整頓・清掃』の3S活動をしています。

朝礼は全員参加です。週に1度、全員が集まる貴重な機会です。

朝礼では、代表である私がその時に感じていることを、心に残りやすい一言にして社員に話しています。

みなさんは「正常性バイアス」「心配性バイアス」という言葉をご存じですか。


先日、NHKで災害についてのドキュメンタリーで、この「正常性バイアス」と「心配性バイアス」の事例を紹介していましたので
皆さんにも聞いてもらいたいと思います。

①「正常性バイアス」とは、自分だけは大丈夫だろう、という根拠のない心の状態を表しています。

東日本大震災時でも、どれだけ身の危険が差し迫っている状況でも「自分は大丈夫だろう」と正常性バイアスが働き、行動が遅れ、結果として災害に巻き込まれてしまった事例が数多くあったと言われていました。 他にも、大雨の時に、今にもあふれそうな川のそばで平然と体操を行っている映像を見たことがあります。
これはまさに「正常性バイアス」が働いて、危険を感じる判断ができない状態であると思います。

②「心配性バイアス」は、自分にとって大切な人が心配だ、気になる、という心理を差します。

愛媛のある町で、地域の消防団員が巡回中に、崖の近くで異臭を感じました。その地域には「土砂崩れの前触れに異臭」という言い伝えがあったそうです。異臭に気が付いた団員は、急いで周辺の住民に避難を呼び掛けました。
約10分後、土砂崩れが発生し、数世帯を難から救ったそうです。
いつ危機が起こるか分からない、心配だという「心配性バイアス」が働き功を奏した形です。
人間には、自分に対して正常性バイアスが働いていても、自分にとって大切な人や物を守るために
心配性バイアスが働く習性があります。


不安や心配を和らげるために、予防しようと真剣になり、行動を起こします。
愛媛の消防団員の話は、正常性バイアスを防ぐ方法として、古い言い伝えを守ることが大事だという話でした。
その中で、愛媛の話は『土砂崩れの前に臭いがする』という言い伝えを団員が思い出し、実行した結果、バイアスから逃れられたという事例です。
実際には、土砂の水分が多くなって木の根っこなどの植物臭がするんだそうです。

また、心配性バイアスの話は、災害評論家が防災の講演をしている時の話で、
単に防災の話をしても受講者は真面目に聞くことが少なくアクビばかりですが、
『孫や子供の命を守る為の防災』、というテーマにしただけで興味を示めすそうです。
自分の子供や孫は必要以上に親や祖父母は心配するというのです。これが、心配性バイアスだということで、
これを防災に上手く使うことも有効だという話でした。


この習性をうまく利用して、自分も、自分の大切な人も巻き込んで
みんなが助かるように、行動ができるといいですね。


私たちの仕事への取り組みも同じです。
毎日、繰り返しのルーティンワークを行っていると、いつの間にか当たり前になり疑問を持てなくなってしまいます。
注意書きのメモや、気づきのための付箋も、壁に貼ってある安全のポスターも
毎日見ていると、それらは景色の一部に同化しやすいです。 だからと言って心配ばかりしていたら、不安になりストレスもたまるし
新しい挑戦に消極的になってしまいます。

毎日の業務に、ストレスなく「心配性バイアス」を働かせる仕組みや仕掛けを講じて
問題解決を図れる企業でありたいと感じました。