お天道様に恥じないように ものつくりをする

こんにちは。茂原産業 代表の雪田です。

茂原産業は毎週火曜に全体での朝礼と、私たちがいつも使っている環境や設備を維持する『整理・整頓・清掃』の3S活動をしています。

朝礼は全員参加です。週に1度、全員が集まる貴重な機会です。

朝礼では、代表である私がその時に感じていることを、心に残りやすい一言にして社員に話しています。

今週の話は、ものつくりに対する心構えです。

早朝のラジオ深夜便で聞いた、佐野末四郎さんという凄い男の話をします。

初めて聞くお名前でしたが、現在、木製の自転車を作っておられるということで、興味を惹かれました。

江東区で江戸時代から続く船大工の家に生まれ、物心つく頃から大工道具を遊び道具に育ち、

「早く祖父や父のようになりたい」と思っていたそうです。 祖父から「職人芸は中学までに身に付け、そのあと勉強して

頭を使わないといけない」と言われていたこともあり、迷いなく、中学から専門的に学べる学校を選び、大学も造船科を

卒業されたそうです。

免許を持たない子供が海へ出たいと憧れ、自然とヨットへの関心が高まり、小学生ながら独学でヨットの構造や

セーリング理論を勉強した佐野さん。

小学5年の夏休みに、足船を改造してディンギーヨット(キャビンを持たない小型の船舶)を製作したのをきっかけに、

中学ではヨットで遠くへ行く夢をかなえるため、全長6.7mの木造ケッチ(2本マストの外洋ヨット)を作り始め、

高校3年で進水式を行いました。 父親は、完成したヨットのことを、会う人、会う人に嬉しそうに自慢していたそうです。

しかしこの間、船の主要材料も金属やプラスティック系に変わり、家業は衰退の一途となっていました。

何とか稼業の助けが出来ないか考えた結果、完成した船の写真をアメリカの雑誌社へ送ったところ、 本に掲載され、

造船所の運命もガラッと変わったそうです。

大学卒業後は井の中の蛙にならないよう、オランダの王立造船所で働きましたが、現地の無垢材を使用しない製法には、

これまで培ってきた高い基本技術が役立たず、最初は辛酸をなめたそうです。 幸い、その造船所には就業時間後に工場の

インフラを自由に使って良いという『ホビータイム』というシステムがあって、そこで技術を磨いていた際に、たまたま

一緒になった工場長に器用さを認められて、仕事が貰えるようになったそうです。

合理主義の欧州人でも、モノづくりにかける情熱は日本人と同じなのだな、いや、今の日本人以上のものを感じます。


その後、木材を貼り合わせる技術を身に付け、わずか半年でそこでの職人の最高位にまで上り詰め、更に無垢材でも

見た目の綺麗なものが作れるようになったとのことです。

現在は、軽井沢の工房にて木製自転車の製作をされているそうですが、自分が生きている間、日本人のモノづくりの

最高技術を残す、いや、残さないといけないという使命で製作を続けているそうです。 木製と聞くと重そうに感じますが、

市販のママチャリが20㎏程度なのに対し、佐野さんの最新の木製自転車は8.3㎏。

引渡まで約3カ月かかるそうですが、内訳を聞いて驚きました。 木製自転車の納期は約3ヶ月、製作は2カ月半で終わり、

残りはテスト運転だそうです。


数回に分けて約200~250㎞走ったところでテストは終わりますが、全部バラバラに解体し、各部品に異常がないか確認するそうです。
再塗装して、タイヤを新品に変えて引き渡すそうです。


「今も職人として大切にしていることは?」という質問に対して、

『お天道様に恥ずかしくないものづくりをする、それしかない』

『プロとして仕事の手を抜くと、必ず後で問題が起こるので、それを絶対にしてはならないということです。』

と、いうことでした。


若くして海外でも認められるほどの実力を持ちながら、井の中の蛙になることなく常に努力する謙虚な姿勢。

自分の技術を過信せず、見えるところも見えないところも手を抜かない、ものづくりに対する熱意。

我々も見習いたいと思います。

至極当然で簡単に見えるけれど、いざ100%を目指すととても難しいことだと思います。

手抜きはいつか自分に返ってきます。

胸を張って私が作業しましたと言えるよう、日頃の業務に生かして欲しいと思った話でした。